ワークショップ

二月の地方発送

今回お届けするのはバレンタインデー前ということもあり、チョコレートを使った商品です。
焼菓子や、生菓子、ボンボンショコラに、コンフィチュール、使い方によってさまざまな表
情を見せるチョコレートはとても魅力的な素材のひとつです。
今回は焼き物を中心にお届けしています。食感や、組合せる素材はさまざまですが、どの商品
にも共通しているのは口溶けの良さだと思います。チョコレートを多く配合する事で油脂分が
増え、重たい食感になりがちですが、混ぜ方や泡立て方で軽い食感に仕立て、お菓子の骨格と
なるグルテンを必要最低限しか出さないように作っています。
何度も繰り返した中で蓄積し、誰が見てもわかるように数値化したデータと、変化する生地が
見せる一瞬の表情を読み取るという、なんとも言葉になりにくい直感のようなものを駆使して
お菓子を作ります。誰にでもわかるデータと、おそらく個人にしか見えない多分に感覚的なところ….相反する事のようにも思えますが、おいしい食べ物を作る上での両輪だと思っています。

生地を作ってオーブンに入れてしまえば、もうやり直しは出来ません。製菓は調理のように、あとから味の調整をすることも出来ません。見えない生地の中の状態を想像し、そこから逆算して素材の温度、泡立て方、混ぜ方、を選択
して生地を作る。これが思い通りに決まったとき、または想像以上の出来上がりになった時の
喜びといったらありません!そんな瞬間に出会いたくて、前回より美味しくするためには?こうしてみたらどうだろう?と試行錯誤しながら毎日粉にまみれています。

今年も無事味噌を仕込み終わりました。10ヶ月後、
どんな味わいに変化しているのか今からとても楽しみです。   店主

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味噌作り

大寒は過ぎましたが、毎年ちょうどこの寒い時期に
越前のマルカワ味噌さんから自然栽培白米麹と
有機栽培のさといらずを取り寄せ、家族で味噌を仕込みます。
今回で4度目となります。
回を重ねるごとに、香りもよくなり、
確実に美味しくなっているのでやり甲斐があります。
豆を洗い水に浸すところから二日間の作業を集中して行なえば、
一年間はおいしい味噌汁を飲み続けることができるのだから
俄然気合いが入ります。
衛生的に仕込めば、よく言われる天地返しなども必要ありません。
とても簡単なんです。
菌が心地よい状態を作ってあげれば、
勝手に醸してくれます。

今日仕込んだ味噌を寝かせるために
昨年仕込んだ味噌が入った木桶を開けていたのですが、
あまりの香りの良さに驚きました。
みんなでおいしい!と連呼しながら
沢山つまみ食いしました。
豆の浸水具合、炊き加減、つぶす粗さ、
麹の種類、塩の選定、桶の種類、
保存箇所の温度….などなど、
出来上がりを左右する項目はたくさんありますが、
繰り返す中で、少しづつですがブラッシュアップ出来ていると思います。

父や母の世代のひとたちは、「私たちが幼い頃はこうやって
それぞれのうちの土間で作ってたんだ」と懐かしそうに話してくれますが
普段の生活では大手メーカーの速醸味噌を何の疑いもなく使っていたりします。
味噌の作り方も、身近な人から教えてもらった訳ではなくて
ネットで調べて学びました。
日本人にはとても身近な調味料なのに。
戦後の時代背景もあったのだと思いますが
効率や利益を求めつづけた結果、
大切な事がおざなりになってぽっかり穴が開いてしまってるようで
なんだか寂しいんです。

その土地ごとに適した作物を食べて身体を作り、
その土地ごとの気候の中で暮らし、、
その土地ごとの文化の中で情操を育む。
多様性を感じ、認め、溢れる様々な情報の中から、自分が大切に思うものを
取捨選択することが生きる根幹だと思うのですが
田舎であればあるほど、選択肢は限られ
一様である事が求められているような気がします。

味噌作りも続けてやっていれば、子供たちも次はどうするのかが
分かってきたようです。
彼女たちが大人になったとき、
既製品の味噌を買い求めるのか
自分で作ってみようとするのかはわかりませんが
味噌を作ったことがあるという記憶は
残っているのではないかと思います。
僕は幼い時にやった事がなかった、
子供たちはやったことがある。
この違いは大きいと思います。

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今のこの営みが、彼女や彼らの
人生の選択の一助になれば良いのですが。
今年は1/3を麹を変えて麦味噌にしてみました。
一年後、どんな味わいになっているのか楽しみです。

一月後半の地方発送

今回お届けするのは、ガトー・ア・ラ・ブロッシュ/Gâteau à la broche と パン・ド・カン
パーニュ/Pain de campagneなどです。
ガトー・ア・ラ・ブロッシュは薪の直火で、パン・ド・カンパーニュは薪の炎で石窯をあた
ため、その輻射熱で焼き上げます。どちらも電気のなかった時代から、淘汰されること無く連
綿と受け継がれてきた製法で作られています。現代の経済で言えば、大量生産出来ず、手間が
かかって不効率、利益も出ない…..商売において良いところなんて何にもないのですが、僕に
はたまらなく愛おしい商品で、開業以来、大切に焼き続けています。 淘汰されずに残ってきたものは手間隙をかけないと出来ないものが多いです。
電気やガスの火力と違って容易にコントロール出来ないから、生地の温度、樹種の剪定、薪の
太さ、焼べるタイミング、どれをとっても本当に微妙なもので、とにかく観察し違いを見比べ
て細かく調整するしかない。自分で原木を玉切りし、割って乾かした薪はとても愛おしく、大
切に扱います。
また前者は卵、国産小麦粉、バター、砂糖、塩。後者は国産小麦粉、塩、水のみというとても
シンプルな配合です。お客様から「ここのはちょっと味わいが違うね」とよく声をかけていた
だくのですが、材料は特段変わったものは使っていません。それでも味わいに違いが出るのは抽象的ではありますが、素材を見つめ、生産者を思い、お客様に喜んでいただくという気持ち
の部分を大切にしているからだと思います。これは効率や利益ばかりを見ていては気付くこと
ができない。一見、面倒で不効率なことなんですが、そこにおいしさや、豊かさ、もの作りの
本質があるのではないかと感じています。

今大切に思える先人の知恵や教えを本当は私たちの父や母の世代につないで欲しかった。
以前はそのことを残念に思っていましたが新しい価値を産み出そうとした戦後の混沌の中では
無理だったのかな…と思うようにしています。
だからこそ、僕らの世代が80代、90代の方々が身体で憶えている生きた知恵をワークショッ
プに参加したり、先人から教えてもらって、次の世代に繋いでいかなければと、こんなお菓子
やパンを作りながら思っています。

 

山陰でもやっと雪が降りはじめ、本格的な冬の寒さがやってきました。夏は汗だくになって辛い石窯の作業も、じんわりと包まれるような暖かさに
居眠りしてしまいそうな心地良さを感じる今日この頃です。   店主

ガトー・ア・ラ・ブロッシュ

出来上がりを左右する、
生地の温度、
樹種の剪定、
薪の太さ、
焼べるタイミング、
どれをとっても本当に微妙なもので
翻弄されっぱなし。

思ったように焼き上がらなかった時は
何でこんな手間なことやってるんだろう?とか
もうやめようかなぁ〜なんて気持ちが頭をもたげるんですが
焼成台の熾きや灰を片付ける頃には
次はこうやってみたら….
あそこでこう変えたら良くなるかもしれない….と
闘志のようなものが湧いてきます。

次はもっと上手に焼けるはず。

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アラウンドボード

うちのカンパーニュの様に大きなパンって
家庭の小さなまな板の上では少し切りづらいですよね。
ずっと何かいい方法はないかなぁ?と模索していたのですが
西粟倉の木工作家:フレル山田さんに相談したところ
快諾して下さり、大きなパンをカットするための
カッティングボードを作ってもらいました。

折角の大きなカッティングボード、
パンを切るだけじゃもったいない….。
ローストチキンや、かたまりで焼いた
大きなお肉を取り分けたり、
シャルキュトリーやチーズ、お惣菜を盛り合わせてみたりと
様々なシーンで利用出来るものが出来ないかと考えました。
僕が1kgの大きなパンを焼くのも、
時間をかけて変化を楽しみながら
切り分けて食べて欲しい、家族や友人とその時間を
共有して欲しいと思うからです。

大切な人と囲む食卓に
ぬくもりのある木で作ったカッティングボードを添えたい
というイメージを山田さんに伝えたところ
とっても素敵な作品を作って下さいました。

試作を重ねるなかで、反りにくいようにと
西粟倉産のヒノキの本体の両側に添えられた
チェリーまたはウォルナットで出来た持ち手部分の意匠や
パン屑を受ける溝も、肉汁や水分の多いお惣菜を盛った時に
汁気を受け止められるように。
また角の広くなった溝は
薬味などを盛りつける場所としても使えるようにと
様々なシチュエーションで活躍するよう
考え抜いて下さいました。

我が家でも大活躍しています!

サイズ:タテ480 × ヨコ300 × 厚さ22 (mm)
樹種:ヒノキベースでチェリーとウォルナットの二種類

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雑感

先日、お店に母校の専門学校に進学の決まった
地元の高校生が来てくれました。
なんでも今は内定後にケーキ屋さんに行って
どんなお店だったかをレポートしなければいけないらしく、
どんなケーキを買ったらいいか?と悩んでいました。
希望に満ち溢れて、キラキラと輝いてまぶしかったです。
20年前の自分も同じようだったのかな?と思い返してみましたが、
あんなにはしっかりしてなかったように思います💦

老婆心ながら「いい学校選んだね」「いっぱいお菓子食べなよ!」

「いっぱい先生に質問しなよ」と声をかけてしまいました。

きっとうるさいオヤジだと思われてしまっただろうな…。

でも1つ心残りなのは学校出てすぐに鳥取帰ってくるなよ〜と言いそびれたことです。

あの子たちが一人前になってお店を待つために帰郷する頃には自分はどうしてるんだろう?

想像もできないけど、バリバリ勝負出来るくらい頑張ってたいな!

もしくは違うことしてる(尻尾まであんこの入ったたい焼き屋とか)かも。


彼らの10年後も、自分の10年後もどうなっているかわからないけど

今と同じように夢中になれること、ワクワクすることに向き合っていたいなと思いました。

1月の地方発送

遠方で足をお店に運べないというお客様から、地方発送のご要望を沢山いただき、開店したの
が二年程前。私どもの力不足から、開けたり閉めたりを繰り返しており、お客様にとっては利
便性の良くないお店であるにもかかわらず、ご注文を頂けましたこと、本当に嬉しく思ってお
ります。
スタッフが充実し、お店が成長出来るまでは発送日を限定させていただく販売方法が続くか
もしれませんが、現店舗の延長線で既存の商品をお届けするということではなく、ウェブショ
ップで期間限定でお届けする形態だからこそ出来る、季節やイベントに沿った魅力あるお菓子
をご紹介していければと考えています。
と言いましても、お店に並ぶ商品は、そのとき僕が食べたいと思うお菓子ばかりなので、こ
ちらでご紹介する品も四季の移ろいを感じながら山陰で生活するなかで、僕が食べたい、ご紹
介したいと思った商品になるかと思います。
粉と、卵と、砂糖と乳製品、基本となるたった4つの素材で、さまざまな形や味わいを産み出
せる製菓の仕事が私は大好きです。この職に就いて二十年程経ちましたが興味は尽きることが
なく、いまだに新しい発見にワクワクドキドキしています。
良いもの作りとは、手間隙を惜しまずに、あたりまえのことをひとつひとつ積み重ねていくこ
とだと確信しております。
これからも、お客様に喜んでいただけるようなお菓子を作ってお届けしたいと思います。

 

自家製の味噌を作るようになって四年が経ちました。
一月末の仕込に備えて味噌桶を洗ったりと準備している今日この頃です。  店主

2015年末におもうこと。

2015年はさまざまな分野の先達から
多くの気付きを戴きました。
やはり作り手として高みを目指すには
人にも物にも自分を取り巻く全てのものに
謙虚な気持ちで向きあい、
感謝の気持ちを忘れないことが肝要なのだと
再確認しました。

あと少しで2016年。
来年はますます
「やりたいことしかしない」
年にしようと思っています。

言わずもがな
目指す所へ躙り寄る道のりは
楽しいことばかりじゃなくて
苦労も辛いこともたくさんあるけど
そこへたどり着きたいと願い、
自分の精一杯で臨み、突き抜けてしまえば
そんなことはどうでもよくなってしまう。

それぐらいの力強さと勢いで日々を送りたい。

過去に自分がやってきたこととか、
考えてたことにとらわれないで
今をどう生きるか?を考える。
生きることと死ぬことは同じ意味。
終わりを意識することから、全てが始まる気がする。

2016年も焦らないで、緩まないで生きようと思います。
今年一年、たくさんのお客様にご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
新年は4日より営業させていただきます。
昨年同様、ご贔屓のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様、良いお年をお迎えください。

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クリスマスを終えて

年末まで営業しているとクリスマスケーキの感想を
お客様から聞かせていただける機会も多く、
お気に召していただけたとの声を聞けると
肩の荷がおりたようでホッとします。

今日も御来店のお客様が予約特典でお渡ししたスペキュロスが美味しかったので…とお買い上げ下さいました。

シュトレンも「いろいろ食べたけど一番ここのが好き!」と
何人ものお客様が仰って下さり、嬉しくて仕方ないのと同時に
来年はもっと美味しいものを作らなくてはと
身の引き締まる思いです。

ここのところ、ずっとお店にこもりっきりでしたが
先日所用で昼間に出かけ、帰ってくる時にお店のまわりの風景を
何とはなしに眺めていたのですが、ウチのお店の所在は
辺りに何もなくて、何かのついでに立ち寄るような所ではないなぁ….と改めて思いました。
年末のお忙しいなか、こんなに辺鄙な場所にあるお店に
わざわざ足を運んでいただいているのだと思うと
胸が熱くなってしまいました。

本当にお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。
品切れすることも多く、ご不便をおかけ致しますが
精一杯良い品を届けられるよう、これからも精進致します。

ベラベッカIMG_4774

見た目は変わらないのだけど…..

今までは遠い異国の地で作られた材料で
ベラベッカを作っていましたが
ここ数年、相次ぐ生産地の不作や自然災害で、
材料自体の入荷がなかったり価格が高騰したりと、
作れるかどうか危ぶまれる状態が続いていました。

そんな時。ふと思ったのが、
この地だからこそ出来るベラベッカって
どんなのだろう?ということ。
高いフードマイレージをかけて取り寄せなくても
近くで手に入る素材があれば、気候や為替などに翻弄されずに
作れるんじゃないかと思い立ち、ルセットを再考しました。

ベラベッカは洋梨のパンという意味で、
アルザス地方に古くから伝わる代表的なクリスマスのお菓子です。
洋梨は外せないので以前からお世話になっていた
佐治の中谷さんの作るラフランスを
自家製のセミドライにして加えました。

もう一つ使ってみたかった素材が「柿」。
実家の裏山にある幼少期から幾度となくぼらせてもらった
おばさんの畑の柿の木。
母が熊や猿と競って穫ってきてくれた物を
渋を抜いてからオーブンでセミドライに。

住まっている地域で穫れ、自ら加工した素材を加えて作った
2015年のベラベッカ。
見た目は去年と変わりませんが、いろんな想いが詰まっています。
味わいもとても美味しく仕上がりました。
是非味わっていただきたいです!