ワークショップ

2016 kayak fishing

 

海の近くに越してきてから魚釣りが好きになって、よく海へ行きます。
今年は新しいことに挑戦したいと思い
カヤックでの釣りを始めました。

釣って丁寧に処理して持ち帰った魚は
子ども達も大喜びで、たくさん食べます。
これには驚いたのですが、子どもの味覚は純粋なもので
野死のものと活け締めにしたものとの違いが分かるようです。

釣り上げた魚を美味しくいただくために、
活け締めにする(心臓が動いているうちに大きな血管を切って方血させる)のですが
その際にエラ元にナイフを入れると魚が大きく痙攣します。
しかし私はそれがとても苦手なのです。
「この魚にも親や子がいたり、仲間がいたりするんだろうな…」
なんてことが頭をよぎります。

私はお店の小さな庭に果樹やハーブを植えています。
育てた植物を収穫する時、いい香りだな、美味しそうだな〜と思うのと同時に
「私がここで切らなかったら、種を落としたり命をつないだりできるのにな….」
といつも心に痛みが走ります。

どちらも数をこなせば慣れるかも….と思いましたが
そんなことはありませんでした。

動物であれ植物であれ、大小や種類に関係なく命があります。
食べるということは、その命をいただくこと。
これは生きていくために必要で、逃れられないことです。

人は捕食者として上位にいるから、他の生き物に
命を脅かされるようなことは滅多にありませんが
自分たちを捕食するものが現れたらどう思うのかな?と
ときどき想像します。

また自分は他者の命を奪ってまで生きる価値があるのか?と
いつも自分に問うていますが、折り合いがつかないままです。
答えは見つからないで居ます。

また自分で釣ってきたり、庭で育てたりすることで
一次産業に従事する方の苦労の一端を身をもって知ることができ、
漁師さんや農家さんに対する感謝の気持ちがますます強くなりました。
住まう土地では、スーパーに行くととても安価で魚が買えます。
消費者として嬉しい反面、売値がこれなら
仲買さんは幾らくらいで買っていて、
燃料代や人件費を引いたら…と考えてしまいます。
命がけで漁をしてきた魚や
天候に左右されながら辛抱強く育てた野菜が
この値段で売られてたら、悲しいだろうな…..
自分も作り手の端くれだと思っているので、
その手間暇や思いに価値を見出してもらえないこと、
また価値をつけて届けられないことを想像すると
やるせない気持ちになります。
自分の得のために、誰かが損をするのではなく
お互いが価値を認め合う等価交換にできないものかなぁと思っています。

だからこそ、そういった背景に向き合うことで
「命を頂いているのだから、丁寧に扱わなくては」
「命を頂いているのだから、美味しく調理しなくては」
「命を頂いているのだから、物にも人にも配慮した、より良い生き方を模索しなくては」と、
以前より少しだけ謙虚な気持ちで、命に敬意を持って日々を過ごすようになりました。

魚釣りと製菓の仕事はなんのつながりもないように思えますが、
浮かんでは消えていく感情、大事にしたいと思っている思想や理念を
毎日欠かさず行う「食べる」という行為や、日々の営みに落とし込むことで
矜持を持って仕事ができるのではないかと思うのです。

そんなこんなで、今年お世話になった岩美の海と釣果を
imovieのテンプレートに当てはめて作ってみました。

こんなの作ったよと娘ちゃんに見せたら
「これやるんだったら作ってるケーキでやればよかったのに」
という的確な指摘をいただきました💦

はい、次からはそうしたいと思いますm(_ _)m

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Noël’16を終えて

今年もなんとかご予約いただいた皆様に
クリスマスケーキをお渡しすることができました。
天候の悪い中お店に足を運んでくださったお客様、
本当にありがとうございました。

自分がわがままな作り方を選んだために
たくさんの数をご用意できず、
お断りしたお客様には申し訳ない気持ちでいっぱいですが
今の自分の精一杯のお菓子をお届けできたと思っています。
今年の経験を糧に、来年はさらに良いお菓子を
お届けできる様努めてまいります。

また、いろんな差し入れをしてくださった皆様、
受け渡しが円滑に進む様に細やかな
気遣いをしてくれたアルバイトの市村さん、
販売に製造補助に走り回ってくれた妻、
温かいものも食べてないだろうからと
賄いを作って届けてくれた母、
たくさんの方に支えられてお菓子を作ることができました。
本当にありがとうございました!

Merry Christmas🎅

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デコレーションケーキに対する思い

トゥジュールでは、デコレーションケーキの御予約をお渡し日の前日までにいただいております。

当日でもお渡し出来る商品も、いくつか取り揃えておりますが
いちばん需要のある、いわゆるショートケーキ様(フルーツ、生クリーム、スポンジ)のデコレーションケーキは前日までの御予約をお願いしています。
「15分で出来ます」と作ってくれるお店もあります。
技術的にはそれも可能でしょうが(ウチでは人手が足らなくて無理ですが…)それでは15分なりの味にしかならないと、僕は思っています。

前日から組み上げて、フルーツ、生クリーム、スポンジ
それぞれの水分を適度に移動させることで
一体感を生み出すことが主な理由なのですが
技術的なこと以外に、もうひとつ大事にしたい思いがあります。

最近のお菓子屋さんはショーケースにホールケーキが沢山並び、
お客様のニーズに応えてくれる。
いつ行っても買える。
大切な人の記念日を忘れていても、なんとかなっちゃう(笑)
急な用事にも対応出来て、とても便利です。
実際、ウチのお店でも当日販売分のホールケーキを求めて
ご来店下さるお客様もたくさんおられます。

でも少し淋しい気もするのです。

記念日をお祝いするためでも
旅行の際のお土産でも、
誕生日プレゼントでも、
あの人はこれが好きかな?それともあっちかな?
他のお店の方が喜ぶかな?と考える。
大切な人が好きなものを思い出し
どれだったら喜んでくれるだろう?
とその人のことだけ思う。
日が迫るごとにドキドキする。

すぐにお店に行けば買えてしまうその便利さと引き換えに
そんなかけがえのない時間を
失ってしまっているのですから。

私たちも、お客様のプライベートな時間に
参加させていただくからには
伝わらないかもしれませんが、
ロウソクの数や年齢を見て
漢字を入れるのか、ひらがなで書くのか迷ったり
男性か女性か?どんな場所で?と想像をふくらませて
デコレーションしたり、メッセージを書いたりしています。

微力ながら、私たちも思いを込めて作ったお菓子をお届けしたい。

そんな気持ちから、前もっての御予約をお願い致しております。
ご理解、ご協力をいただけましたら幸いです。

また、種類は限られますが、当日お渡し出来る商品もございますので
急な御入用の際にはご相談下さいませ。

12月下旬の地方発送

クリスマスにケーキを作ってお客様に届ける仕事に就いて、もう少しで20年が経ちます。昔は期間中に1000台以上のホールケーキを作るお店でも働きましたし、先輩や同僚との話では以前はもっとすごかったとか、何日徹夜して作ったとか、そんなことばかり仲間内で自慢し合っていました。お菓子屋さんにとっては確かに一大イベントでモチベーションも上がりますし、やりきったという達成感もあります。でもそんなことを続ける度に、「本当にこれでいいのかな?」という思いが頭をもたげはじめました。いくら丁寧にとは心がけても、いつもの数百倍の量をこなせば仕事は荒くなります。何日も徹夜すれば集中力も落ちてきてミスも起きますし、細かな部分に目が行き届かなくなります。一年のうち、もしかしたらクリスマスにしかケーキを食べないお客様もいるだろう…折角楽しみにして選んでもらって、自分の100%の仕事のお菓子を届けられないのは失礼じゃないか。
もっとお客様の方を向いた仕事をしなければ…と思うに至り、数年前から注文を受ける数をかなり減らしました。当然、売り上げは下がりますから経営的には……ですが、より手をかけて品物を作れるようになりました。無理して化石燃料で温めたハウスで作った旬でないイチゴ(旬ではないとはいえ、農家さんの努力で最近ではすごく美味しいものを作られています。ただ価格は春先の路地物に比べたら1.5〜2倍近いですし、クリスマス前には3倍以上に跳ね上がります)を使うこともやめたおかげで、入荷できるかできないかに翻弄されることもなくなりました。そのイチゴを使わない分、最高に贅沢な生クリームをふんだんに絞り上げています。嗜好品ですから好みも様々で、全てのお客様にお気に召していただけるとは思っておりませんが「精一杯の品物をお届けできた」という満足を味わえるようになり、私自身もこの年末のイベントを愉しんでいます。
なんだか話が逸れてしまいました…苺こそ使っていませんが、同じ思いで作ったビッシュドノエルです。みなさまの特別な時間に、うちのお菓子がご一緒させていただけることを、とても嬉しく思っております。

 

今年、後半になってバタバタと準備して何度か遠方のお客様にもお菓子をお届け
する機会を設けることができました。何度も同じお客様にリピートいただき、本
当に嬉しく思っております。至らないことだらけではありますが、来年も精一杯
の手仕事で作ったお菓子をお届けできればと思っております。     店主

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悲しいニュース

今朝は、住まう町内の漁協の船が
美保関灯台沖で転覆したという悲しい知らせが…。
東京や大阪にいた時には海の事故を耳にしても
どこかの知らない誰かという三人称の死であったのが
港のある町に住み、子ども達の友人家族にも
お客さんにも漁業関係者がたくさんいて
自身もその恩恵を受ける身になって
二人称に変わりました。

ファストファッションを支える中東の労働者の命も
携帯なんかに使われるレアメタルを掘る鉱夫の命も
きっと同じなんだろうな。

写真は冬の荒れた日本海で
命がけで操業する漁師さんから頂いた赤ガレイ。
悲しくて涙が出る。
奇跡が起こってほしい。

12月上旬の地方発送

今回お届けするシュトレンやパウンドケーキですが、開封後はできるだけ早く召し上がっていただいた方が、風味や食感を良い状態で味わっていただけると思います。
アドべントに合せて少しずつ切って食べると言われますが、ウチではナイフを入れると3日も経たないうちになくなってしまいます(笑)焼き菓子といえど使っている素材は生鮮食品です。まして油脂の多いものなら油は確実に酸化していきます。クッキー類でも焼いてから7日くらいで最高に美味しくなってあとは徐々に劣化しますし、
パウンドケーキも寝かせて美味しいのは10日くらいであとは水分が飛んでパサパサしていき、香りも平坦になっていきます。複数の素材を混ぜ合わせておくと、時間の経過とともにそれが馴染んでいき、渾然一体となった味と香りになります。それぞれの素材の味わいがはっきりと感じられるフレッシュなものか、全体がまったりと一体感があるものを目指すのかは、作り手の考え次第です。当店のものは前者を意識して作っています。実際にドイツでマイスターをとった方も、「ドライフルーツはほとんどのお店は漬け込まないよ〜、前日にお酒と合わせるだけ」とおっしゃってました。私自身も以前は熟成させたドライフルーツを使って、焼き上げてからもしばらく寝かせてと一般的に言われる作り方をしていましたが、毎年試行錯誤して作り続ける中で<新鮮な方が美味しいんじゃないか?>との思いが湧いてきました。
どこかで盲目的に<寝かせた方が美味しい>と信じていたのですね。私は魚釣りが好きなのですが、釣ってきた魚も、魚種や大きさ、季節によって熟成させた方が美味しいものも、新鮮な状態で食べた方が美味しいものもあります。使う素材や、製法によっていちばん美味しい期間は違うのだと気づかせてくれた大切なお菓子です。
作り手の考えや個性がはっきりと表れるので、この時期はいろんなシュトレンを食べ比べてみるもの面白いですね。

また、いつもケークを作る時は生地の口溶けを重視するのですが、この生地では生地にたっぷりの生キャラメルを配合することで重厚な味わい深さを出しました。一方で配合中の卵を卵黄と卵白に分け、卵白をメレンゲにして加えて重くなりすぎないように配慮しています。
ぶ厚くカットするよりも、1cm厚くらいにスライスしたほうが美味しく召し上がっていただけると思います。

 

先日お客様から頂いたゆずでコンフィチュールを炊きました。なんともいえない良い香りに
厨房中が包まれました。七日は二十四節気でいう大雪ですね。車のタイヤ交換も終わって冬
の備えができました。クリスマスに向けて頑張りたいと思います。         店主

11月下旬の地方発送

この土地でお店を始めた時、一番困ったのはフルーツが手に入らないことでした。
街にいる時には業者さんに前夜にファックスを一枚流しておけば、翌朝には品物が届いていました。苺、ラズベリー、ブルーベリー、ミュール、パイナップル、スターフルーツ、ブラッドオレンジ、ほおずき、マンゴー、パッションフルーツ.....日本全国、また世界の市場から季節は関係ないとばかりにたくさんの品物が揃っていました。こちらでは、青果店のある市内からは遠すぎるため、配達はしてもらえません。また、フレッシュのラズベリーやペリカンマンゴーなど輸入フルーツは「需要がない」と言われて市場にすら入ってきませんでした。手に入る場所は物流が違うAEONなどの大手スーパーだけ。毎日そこに買い出しに行くわけにもいかず、知己の京阪神の業者さんから送ってもらいやりくりしましたが、とても違和感を感じていました。恥ずかしながらそんな状況に身を置いて初めて、自分が扱っている果物の旬はいつなのかな?と調べたような次第です。その過程で、たくさんの流通業者さんや、農家さんの努力で品物を届けてもらっていること、石油燃料を燃やして温めたハウスで、本来の旬でなくても無理して育てていること、海外に日本の苗を持って行き安価な労働力で育てたものを輸入していること、などいろんなことがわかってきました。とても便利ですし、それらを飾ればショーケースは一気に華やぎます。苺の赤は特に鮮烈です。それをのせた商品は真っ先に売れていきます。
商売としては、そこから離れることはとても怖かったのですが、無理してフルーツを使うことをある時期から辞めました。旬の美味しいものが手に入ればその時だけ。それ以外は必要最低限のものしか使わない。生のフルーツを使った華やかな飾りはできないけど、その分中身に加工した<旬の時期に収穫して作られた>ピューレなどを使った層を作り、味わいを出そうと決めました。
なので今でもよくお客様から「ショーケースに色がないね」と言われてしまいますので「中身に詰め込んでおりますので、一度召し上がってみてください」と返答しています。晴れの日のお菓子にはそういった華やかな演出も必要でしょうが、僕は背伸びしないで作る今の自分のお菓子が好きです。手に入らないなら....と少しづつ植えた果樹やハーブが季節ごとに恵みを与えてくれるようになりました。四季の移り変わりを感じながら仕事ができる今の環境をとても愛おしく思っています。

 

年末にしか作らないシュトレンを仕込むのは久しぶりすぎて毎年ドキドキするのですが
その一年に学んだことをどう咀嚼してそのお菓子に落としこむのか考えてブラッシュア
ップしていく作業はとても楽しいです。                 店主

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フレシュール・ショコラ

今まで当店にはなかったチョコレートのムースを使った

ホールケーキをご用意しました。

今までご用意していたガトーショコラや、

湯煎焼きにしたクラシックショコラは
小さいお子様には濃厚すぎる….
とのお客様の声を聞き
ずっと気になっていました。
今回はお子様や若年層の方、

「チョコレートを好きな、どの年代の方にも気に入っていただけるようなお菓子を」
というコンセプトで作りました。

<フレシュール・ショコラ>

なめらかなチョコレートのクレームブリュレと
水分をたっぷり含んだ
軽い口どけのチョコレートムース、
ヴァニラのシロップを染み込ませ、
口どけよくした
アーモンドとチョコレートの生地を重ね、

漆のように艶やかなカカオ風味のグラサージュで覆いました。

チョコレートのお菓子ではありますが、
とても口どけがよく
瑞々しいのが特徴です。

大きさ 8x16cm(5〜6名様分) 2800円  

11月の地方発送

普段テレビは全く見ないのですが、Amazonプライムを使ってお風呂で「深夜食堂」というドラマ
を1話づつ観るのが最近の楽しみになっています。料理の艶っぽさが人生の悲喜交々と相まって、なんだかジンときてしまいます。見終わったあと妙にその料理が食べたくなっていつも困るのですが、最近、自分にとっての美味しさってなんだろうな?とよく考えます。
最高の素材で優れた料理人が作った料理でも、給仕する人が無愛想にドンッっとテーブルに料理を出したりしたら、それだけでもう台無しになってしまい、美味しさを感じられないでしょう。
逆にいくらホスピタリティが充実してても物に本質がなければ本末転倒です。
話中に赤いウインナーをタコにして美味しそうに食べるシーンがあるのですが、普段だと結着剤や保存料、発色剤や色粉などの添加物がたくさん入ったこの手の練り物はできるだけ避けているのですが、観ていて「とても美味しそう」に感じている自分がいることに気づきました。
幼い頃、それを食べた家族の団欒やお弁当のおかずの記憶も一緒に呼び覚ましてくれました。
素材や技術、空間やサーヴィス、作り手が背負っているもの、食べ手が背負っているもの、そういったものがいろんな形で作用しあって、それぞれの「美味しさ」を醸し出す。優劣ではないそれぞれの「美味しさ」、そこに寄り添える仕事がしたいと改めて思わせてくれた、素敵なドラマでした。

今回ご注文くださったお客様は9割がリピーターの方でした。グッと堪えましたが受注処理をしていて熱いものが溢れそうになりました(涙)前回の販売から数ヶ月、たくさんの遠方の客様が不定期の開催の田舎のこんな不便なお店の商品をお求め下さることを本当に本当に嬉しく思っております。
次回もまたご満足いただける品をお届けしたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

この秋には業者さんが主催する洋菓子講習会に何度か参加しました。
意識は高く持っているつもりでも田舎にいるとどうしても鈍化して
しまいがちなので、良い刺激をもらいました。更に美味しいお菓子
を作りたいと思います。                 店主

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名前の由来

おとうさんのそんけいするしょうせつかに
「しばりょうたろう」さんというひとがいます。
しばさんのようにものごとをふかくほりさげてかんがえ、
ひとやものやくにに、おもいやりをもって
たいせつにできるひとになってほしいとのねがいをこめて
いちじをもらって遼(はるか)というなまえをつけました。

先日、小学一年の息子の参観で
「自分の名前の由来を調べてきて発表する」という授業があり
たずねてくる息子に説明した文章です。

これでもずいぶん端折りました💦

本当は、私が尊敬する司馬遼太郎さんの筆名の由来が
「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」
から来ているという話を聞き、
対象に愛を持って、ものすごい取材量で情報を集め、
慈しむように言葉を選んで書き上げる司馬さんのように
「常に自らに謙虚で他者に思慮深い、懐の深い人になってほしい」
という願いを込めて遼という一字をもらって
「はるか」と名付けました。

ですが、子供にはまず司馬さんが何をしていたどんな人なのか?
その司馬さんが敬愛していた司馬遷とはどこのどんな人なのか?
はるか及ばないという一見ネガティブなイメージを
どう自らを戒める謙虚さと結びつけて理解させるのか?と
頭の中を難題がグルグルと回りましたが、
今は理解させるのは無理だろう、その代わり
父や母の願いがこもっているのだよということだけは
伝えられたらと考え、冒頭の文章に収めました。
とりあえず、白髪頭の眼鏡をかけたおじさんの写真を見たら
司馬さんだとわかってくれるようにはなりました(笑)

私が自らの名前の由来を教えてもらったのは
ずいぶん大きくなってからでした。
少し記憶は曖昧ですが高校生位か、成人してからだったような気もします。

『実るほど頭を垂れる稲穂かな』

母との何気ない会話の中で、この句が出た時に

「あなたの名前の由来もそこからきてるんだよ」

と言われた時には驚きました。

名字が 稲木 名前が 稔

あー、そんな風な思いを込めていてくれたんだぁ。
歳を重ねるごとにわかったような気になって
踏ん反り返っていないかな?
そもそも年齢を重ねたからって実っているとも限らない。
大丈夫か?俺…と半ば焦りにも似た感情が湧いたのを覚えています。

毎年この時期に、水田のたわわに実った稲穂を見るたびに
「あ〜、自分はまだまだだな…。物事の本質を見抜けるように
もっと努力して、もっと精進しなければ」と
背筋を伸ばしてもらっています。

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