ワークショップ

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雑感

先日、お店に母校の専門学校に進学の決まった
地元の高校生が来てくれました。
なんでも今は内定後にケーキ屋さんに行って
どんなお店だったかをレポートしなければいけないらしく、
どんなケーキを買ったらいいか?と悩んでいました。
希望に満ち溢れて、キラキラと輝いてまぶしかったです。
20年前の自分も同じようだったのかな?と思い返してみましたが、
あんなにはしっかりしてなかったように思います💦

老婆心ながら「いい学校選んだね」「いっぱいお菓子食べなよ!」

「いっぱい先生に質問しなよ」と声をかけてしまいました。

きっとうるさいオヤジだと思われてしまっただろうな…。

でも1つ心残りなのは学校出てすぐに鳥取帰ってくるなよ〜と言いそびれたことです。

あの子たちが一人前になってお店を待つために帰郷する頃には自分はどうしてるんだろう?

想像もできないけど、バリバリ勝負出来るくらい頑張ってたいな!

もしくは違うことしてる(尻尾まであんこの入ったたい焼き屋とか)かも。


彼らの10年後も、自分の10年後もどうなっているかわからないけど

今と同じように夢中になれること、ワクワクすることに向き合っていたいなと思いました。

1月の地方発送

遠方で足をお店に運べないというお客様から、地方発送のご要望を沢山いただき、開店したの
が二年程前。私どもの力不足から、開けたり閉めたりを繰り返しており、お客様にとっては利
便性の良くないお店であるにもかかわらず、ご注文を頂けましたこと、本当に嬉しく思ってお
ります。
スタッフが充実し、お店が成長出来るまでは発送日を限定させていただく販売方法が続くか
もしれませんが、現店舗の延長線で既存の商品をお届けするということではなく、ウェブショ
ップで期間限定でお届けする形態だからこそ出来る、季節やイベントに沿った魅力あるお菓子
をご紹介していければと考えています。
と言いましても、お店に並ぶ商品は、そのとき僕が食べたいと思うお菓子ばかりなので、こ
ちらでご紹介する品も四季の移ろいを感じながら山陰で生活するなかで、僕が食べたい、ご紹
介したいと思った商品になるかと思います。
粉と、卵と、砂糖と乳製品、基本となるたった4つの素材で、さまざまな形や味わいを産み出
せる製菓の仕事が私は大好きです。この職に就いて二十年程経ちましたが興味は尽きることが
なく、いまだに新しい発見にワクワクドキドキしています。
良いもの作りとは、手間隙を惜しまずに、あたりまえのことをひとつひとつ積み重ねていくこ
とだと確信しております。
これからも、お客様に喜んでいただけるようなお菓子を作ってお届けしたいと思います。

 

自家製の味噌を作るようになって四年が経ちました。
一月末の仕込に備えて味噌桶を洗ったりと準備している今日この頃です。  店主

2015年末におもうこと。

2015年はさまざまな分野の先達から
多くの気付きを戴きました。
やはり作り手として高みを目指すには
人にも物にも自分を取り巻く全てのものに
謙虚な気持ちで向きあい、
感謝の気持ちを忘れないことが肝要なのだと
再確認しました。

あと少しで2016年。
来年はますます
「やりたいことしかしない」
年にしようと思っています。

言わずもがな
目指す所へ躙り寄る道のりは
楽しいことばかりじゃなくて
苦労も辛いこともたくさんあるけど
そこへたどり着きたいと願い、
自分の精一杯で臨み、突き抜けてしまえば
そんなことはどうでもよくなってしまう。

それぐらいの力強さと勢いで日々を送りたい。

過去に自分がやってきたこととか、
考えてたことにとらわれないで
今をどう生きるか?を考える。
生きることと死ぬことは同じ意味。
終わりを意識することから、全てが始まる気がする。

2016年も焦らないで、緩まないで生きようと思います。
今年一年、たくさんのお客様にご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
新年は4日より営業させていただきます。
昨年同様、ご贔屓のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様、良いお年をお迎えください。

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クリスマスを終えて

年末まで営業しているとクリスマスケーキの感想を
お客様から聞かせていただける機会も多く、
お気に召していただけたとの声を聞けると
肩の荷がおりたようでホッとします。

今日も御来店のお客様が予約特典でお渡ししたスペキュロスが美味しかったので…とお買い上げ下さいました。

シュトレンも「いろいろ食べたけど一番ここのが好き!」と
何人ものお客様が仰って下さり、嬉しくて仕方ないのと同時に
来年はもっと美味しいものを作らなくてはと
身の引き締まる思いです。

ここのところ、ずっとお店にこもりっきりでしたが
先日所用で昼間に出かけ、帰ってくる時にお店のまわりの風景を
何とはなしに眺めていたのですが、ウチのお店の所在は
辺りに何もなくて、何かのついでに立ち寄るような所ではないなぁ….と改めて思いました。
年末のお忙しいなか、こんなに辺鄙な場所にあるお店に
わざわざ足を運んでいただいているのだと思うと
胸が熱くなってしまいました。

本当にお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。
品切れすることも多く、ご不便をおかけ致しますが
精一杯良い品を届けられるよう、これからも精進致します。

ベラベッカIMG_4774

見た目は変わらないのだけど…..

今までは遠い異国の地で作られた材料で
ベラベッカを作っていましたが
ここ数年、相次ぐ生産地の不作や自然災害で、
材料自体の入荷がなかったり価格が高騰したりと、
作れるかどうか危ぶまれる状態が続いていました。

そんな時。ふと思ったのが、
この地だからこそ出来るベラベッカって
どんなのだろう?ということ。
高いフードマイレージをかけて取り寄せなくても
近くで手に入る素材があれば、気候や為替などに翻弄されずに
作れるんじゃないかと思い立ち、ルセットを再考しました。

ベラベッカは洋梨のパンという意味で、
アルザス地方に古くから伝わる代表的なクリスマスのお菓子です。
洋梨は外せないので以前からお世話になっていた
佐治の中谷さんの作るラフランスを
自家製のセミドライにして加えました。

もう一つ使ってみたかった素材が「柿」。
実家の裏山にある幼少期から幾度となくぼらせてもらった
おばさんの畑の柿の木。
母が熊や猿と競って穫ってきてくれた物を
渋を抜いてからオーブンでセミドライに。

住まっている地域で穫れ、自ら加工した素材を加えて作った
2015年のベラベッカ。
見た目は去年と変わりませんが、いろんな想いが詰まっています。
味わいもとても美味しく仕上がりました。
是非味わっていただきたいです!

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<クグロフ・ショコラ>

カカオの風味を感じられて、
なおかつ重くならない
軽やかな口溶けの
チョコレートケーキを目指して作りました。

生地にはバターとチョコレート、
アーモンドを贅沢に使ってコクをだし、
きれいな泡のメレンゲを加えて
軽い食感に仕上げました。
表面にはローストした香ばしいアーモンド入りのグラサージュをかけ
相性の良いドライフルーツを飾っています。

今週末からショーケースの上に並びます。

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身の丈にあった言葉

開店して四年半。
開業当初から変わらないこと、

さまざまな出会いや気付きのなかで変わったこと、

まだ見ぬ明日への希望や不安…..

湧き出るいろんな思いを抱えて日々を紡ぎ、
この地で僕という人間がお菓子を作ることに
どんな意味があるのか、問い続けています。

いままでTOUJOURSには、自作の拙いHPしかありませんでしたが
やっと、憧れていたデザイン事務所nottuoさんに
HPを作ってもらうことができました。

厳選した〜とか、焼きたての〜とか、
よくある派手な修飾語はどこにもないけれど
自分たちの素直な思いを
身の丈にあった言葉で綴れたのではないかと思います。

お菓子や仕事に詰め込んでいるたくさんの想いを
お客様に伝える場所に出来ればいいなと思っています。

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<ガトー・フレーズへの想い>

ふんわりしっとりと焼き上げたスポンジに
程良く酸味の効いた香り良いイチゴとソースを
口溶け良くなるよう考え抜いたバランスでサンドし、
最高に美味しい生クリームをフリル状に絞り上げました。

ガトーフレーズ用に焼き上げるこのスポンジは
一般的なジェノワーズとは配合も作り方も大きく異なります。
このお菓子のためだけに焼き上げる
きめ細かくきれいな泡と水分をたくさん含んだ
口溶けの良い生地。

生地の水分量を多くすることでシロップを打たなくても
しっとりと口溶けよくなる。
シロップを打たないことで、スポンジがが冷えきらず
生クリームとの温度差が生まれることで生地に温かみを感じ、
優しい印象を与えます。
また、焼き上がり冷めた生地は底面に近いほうが密度が高く、
上面に近い所は比重が軽い。
それを考慮して底面に近い所は薄く、
上面は厚くスライスして使います。

生クリームは根釧地区の農家さんが
牧草で育てた牛の生乳から作られています。
カロリーの高い乾燥飼料などで育てられた牛の
真っ白な乳と違って
草に含まれるカロテンの影響で
真珠のような少しアイボリーがかった色合い。
殺菌温度が低く、脂肪球を大きなままで残した
生クリームを使用しているため
乳味感が強く、とても口溶けが良い。

イチゴはしっかりとした酸味と香りを持ったヨーロッパ産。
旬の時期に収獲された中まで真っ赤な美味しい苺です。
生地とクリームとの相性を考え、
程良い厚さにスライスしてサンドする。
生地には同じイチゴで作った香りの良いソースも染み込ませる。
その状態で一日寝かせることでイチゴの香りがクリームに移り、
クリームの水分がスポンジに湿りを与え、一体感がうまれる。

最後は、この最高に美味しい生クリームを
フリル状に絞り上げて完成。

小さい頃、とても憧れたイチゴと生クリームのショートケーキ。
ざっと書き出しても、自分なりに譲れないポイントがたくさん詰まったお菓子です。

イチゴの赤って、とても魅力的で人の目を惹き付けます。
ショーケースに並べた、たくさんの菓子の中から
一番最初に無くなっていくのは
苺が乗ったケーキなんですよね。

今では一年中手に入りますし、のせてるだけで売れちゃう。
この魅力にお菓子屋さんは抗えないです(笑)

ウチのように小さな規模で僻地でお店をやっていると
果物屋さんにも配達してもらえないんです。
街で働いていたときは年間通して
フランボワーズ、ブラックベリー、ブルーベリー、メロンにブドウ….
様々なフルーツが仕入れられました。
サイズや数を電話やFAXで伝えれば
翌日には必ず届けてくれるんですもん。

でもここではそれが出来ない。
基本、扱えるのは自分で買い出しに行き
手に入る食材だけになりました。
最初はあれも使いたいのに、これも無いのか…とイライラし
通販で取り寄せて使ったりもしていたんですが、
そういったことにも少しづつ違和感を感じ
なんだか無理をしてることに疲れちゃって、
そのとき手に入る物でお菓子を作るように変わりました。
結果、旬の物しか手に入らないからそれしか使わない….
ということに繋がって行きました。
ショーケースに華やかさは無いけれど、
無理をしないことが
僕自身心地いいことに気付きました。

イチゴも旬は春先から初夏だそうです。
幼い頃、実家の裏の畑でアリと競争しながら
熟れたイチゴを収獲したのを憶えているのですが
その記憶も初夏だったように思います。

自分の感覚では、この時期のイチゴは露地物も多く
ハウスで作ったものとは香りも味わいも格段に違います。
それに比べて秋に出回りはじめた苺は
味も香りも希薄な印象を受けます。
(もちろん品種にもよります)
僕は古い株かもしれませんが「女峰」の様に
脂肪分の高い生クリームと組合せても負けない存在感がある
しっかりと酸味、香り、甘味を持った
バランスのとれた苺が好きです。
それも旬の時期の露地物がいちばん美味しく感じます。

現在の苺は、生産者さんの努力や品種改良で
良いものが次々産まれているのでしょうが、
一番苺が売れるXmasに照準を合わせて
寒い時期に化石燃料を使ってハウスをあたため苗を育て
少し無理をして作っている….。

夏以降、Xmasに向けて苺の争奪戦が始まります。
価格も状況によってかなり高騰します。
普段1パック500円前後の苺が1000〜2000円になったりもします。
大手さんは契約で大量に数をおさえて、
価格も上がらないようにしているそうです。
ウチのような小さなお店は、数を確保出来るかどうか?
価格は幾らまで上がるのか?ということに
翻弄されてしまいます。
僕も今までやってきましたが
夏や秋にXmasのチラシを作って、
手に入るかどうかわからない素材を使った
商品の予約を取ることが
どうしても耐えられなくなりました。

・使うなら旬の美味しい苺を使いたいこと。

・化石燃料に頼って無理して作った苺の
 サイズ、数の確保、価格の高騰に翻弄されたくないこと。

・苺のヘタを取る人手が足りないこと。

そんな理由で、今年はガトー・フレーズの上に
苺をのせるのをやめました。
その代わり、最高に美味しい生クリームを
贅沢に絞り上げています。
とてもバランスよく、おいしいガトー・フレーズになりました!

苺が乗っていないことでご満足いただけない
お客様もおられるかもしれませんが
どうしてもイチゴが食べたい!と思われる方は、
スーパーで1パック買ってきてのせられたほうが
たくさん食べられてかなりお得です(笑)
しかもXmas当日よりも1週間前くらいに始まる特売の日に。
酸味の強い品種ならは身持ちも良いので、あたっていない
しっかりしたものだと野菜室に入れておけば多分大丈夫です。

私自身「そうはいっても〜」「そんなの無理だから」という
既成の概念に今まで縛られてきました。
でも今年はそこから抜け出して
その競争から降りることにしました。
作業工程が増えるため、お届け出来る数も減りますし
収入も減る….。
かなり悩みましたが、そのほうが
自分らしい仕事ができると判断しました。

昔は「〜日徹夜した」「〜千台作った」と言うことを
誇らしげに話す人が多かった。
人口が増えて景気も右肩上がり、
みんなが消費する社会だったから
そういったこともできたのでしょうが
「それっておいしかったの?」と言う思いが
ずっと自分の中にありました。

今年のXmasはしっかりと腰を据えて、
新しいやり方、価値へのチャレンジをしてみようと思います。

でもでも、このガトー・フレーズ、メチャメチャ美味しいですよ!
一切妥協はありません。というか、とても手が込んでいます。
Xmasにこんな構成のガトー・フレーズ作ってるとこ
僕は知りません。
ウチのこのお菓子、お客様から
「子供たちがいつもはホールケーキ買ってきても全部食べきらないのに、ここのは完食したよ!」
とか「ここのは生クリームが違うからとか口溶けがよくって…」と声をかけていただくことが多いのです。
詰め込んだことが伝わっているんだなぁ…と思うと
嬉しくって泣きそうになります。

たくさんの数はご用意出来ませんが、
こんな思いに共感してご予約して下さるお客様がおられましたら
精一杯の仕事で美味しいお菓子を届けたいと思っています。