ここ山陰での暮らしで得たのは、仕事と生活を分けないということ。
やりたいことをただひたすらにやるなかで
日常に抱く理想や思想、哲学が仕事にそのまま繋がってきました。
それが今とても心地良い。
春は萌える緑の中、鳥の囀りを聞き、
夏は翡翠色の海に浮かび目映い陽を浴び
秋は田を渡る風を頬に受け
冬は雪の降り積もる静寂に佇む。
四季が織りなす美しさを肌で感じ
心豊かに暮らしたいと願う。
家族で味噌を仕込み、精米で出た米ぬかで糠漬けを作り、藁と大豆で納豆も仕込む。
店から5分の海で釣った魚が夕餉に並ぶことや、庭で摘んだハーブで就寝前にお茶を飲むこと、
こうした何気ないひとつひとつの積み重ねが僕らの生活を豊かにし、
人としての幹を太くしてくれるのだと感じています。
私たちの暮らしそのものが形になって生まれたお菓子やパンが、
お客様にとって大切な人に食べてもらいたいと思っていただけたなら、
その価値を認め喜んでいただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。
一つの仕事を終えても、次はもっと上手く出来るんじゃないか?
といつもワクワクしていて、仕事に対する興味と情熱が止め処なく溢れてきます。
今日より明日、明日より明後日と
もっと美味しいものを作れるようになりたい。
そんな想いで、毎日厨房に立っています。